こんにちわ。SaLLyです。
4月16日、僕は春の陽気に誘われるままに桜を見に行きました。
午前11時。快晴の青空のもと、僕は地元にある『桜の名所』を求めて遥々帰郷したのでした。というわけで、地元に到着。
——異変が起こる。
気がつくと僕は、見知らぬ喫茶店の中に居た。
心臓が早鐘を打ち、冷や汗が首筋を伝う。
まずが落ち着こう。そう思いテーブルの上のメニューを眺める。僕の目に『薬膳スープ』の文字が飛び込んできた。いや、メニューには『薬膳スープ』の5文字のみが、でかでかと書かれているだけだ。妙な怪しさを感じる、だがしかし、注文せねばなるまい。
数分後、僕のテーブルの上には、骨付き肉のスープが。
こ、これが『薬膳』なのか・・・? 僕はてっきり『野草たっぷり春の七草粥』を想像していたので、これには面食らった。あれこれ考えても始まらない、食べてみれば分かること。白磁のレンゲでスープを掬う。
うまい!!!
肉汁なのにあっさりしている! ピリ辛スープから漂う非日常的な香りは、フライパンで熱した香ばしいスパイスを想起させるものだ!
うーむ、写真と店名をここに記せないのが残念。いやー誠に残念。
そして僕は、異国の『薬膳スープ』を飲み干した。
喫茶店を出ると、いつもの日常に戻る。時計を見るとちょうど12時。聞き慣れた時報の鐘が空から鳴り響いてくる。そのとき、ふと気になって、後ろの喫茶店を振り向く。
——花の散った桜の老木が、そこにあるだけだった。
どうやら僕は、春の陽気に誘われて、長い夢を見ていたようだ。